可愛がっていた猫に死なれた中年女性の内面を描いた小説です。猫やぬいぐるみが好きな1980年代のほわっとした女性の感覚がふんだんに盛り込まれていて、現代の感覚では耐えきれないレベルの隔世感でした。
一方で選考委員のコメントはかなりの高評価なので、その当時の時代感覚にはフィットしていたのかもしれませんが、古臭さは別としても、ストーリーの読み取りづらさも最悪でした。
自分の読解力のなさも原因だと思いますが、大半が会話で構成されていて、内容が脈絡がなく支離滅裂。本当に何か精神を病んでいるのではないかと心配になるほどにまとまりを欠いた内容です。何を言いたいのか全くわかりませんでした。
率直に言うとなぜこんな作品が芥川賞を受賞したのか理解できないのですが、1980年代は1980年上半期、1981年下半期、1982年上半期、1983年上半期、1984年上半期、1985年上半期、1986年上半期、1986年下半期と「該当作品なし」が頻発しており、相当不作の時期だったんだろうなと思います。
さらに、これはゲスの勘ぐりですが、著者の吉行理恵氏は、選考委員の吉行淳之介氏の実妹なので、他の選考委員も含め多少の手心が加わっていても不思議ではありません。
それぐらい自分自身では全く良さのわからない作品でした。
↓古い作品なのでアマゾンでもレビューはわずか。でも絶賛している人がいます。
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