ひとり日和/青山七恵(2006年下半期受賞)


芥川賞にありがちな「何も起こらない」系の作品。
入浴しながら50分ぐらいで読み終えました。
あらすじとしては、ぼんやりした生活を送っていた二十歳のフリーターの女の子が人並みに社会人の一歩を踏み出す、という、ただそれだけのストーリー。


何もない物語ですが、古い民家で老婆と二人暮らしという舞台設定や世界観が、
何となくジブリ映画のような雰囲気で結構好きです。

身の回りの小さな世界から、世間という外の世界へ一歩踏み出す、
ちょっとした成長の物語。

でも、本当に小さな一歩で、しかもその先に明るい未来が約束されているわけでも何でもなく、
ともかく世間的なスタートラインに立った、という程度の成長。

そもそも「外の世界」や「世間」などという概念も、自分が勝手にそう思っているだけで、
実際には内も外もないんだよ、というセリフはなかなか納得でしたが、
一方で自分以外の人間はみんなよろしくやっていて、
自分だけはダメな生活を送っているダメ人間、というような感情は誰しも抱えがちなもの。

と、大筋では共感できるのですが、
現実にぼんやり日々を過ごしているモラトリアムな若者からすれば、
この物語の主人公はなんだかんだで結構リア充じゃないか!
という批判もありそうです。


ホントにダメな人間はそんなもんだよね。


↓アマゾンのレビューでは「可もなく不可もない」「芥川賞っぽい」など
積極的な悪口は少ないものの、とにかく普通な評価です。
ひとり日和/青山七恵

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