1981年に世界を震撼させたパリ人肉事件の犯行者、佐川君を題材にした作品。唐十郎氏自身と思われる主人公がドキュメンタリー風に事件のことを取材する体裁を取っています。
カニバリズムという衝撃的なテーマに興味を覚え、わりと期待して読んだのですが、正直難解で何を言っているのかさっぱりわかりませんでした。正確には、言わんとしていること自体はわからなくもないけど、物語がどうなっているのか全くついていけず。
選考委員のコメントを見ても、「私にはよくわからなかった」「最後まで読むのは努力を要する」など否定派も多数。というか、そんな作品を受賞させるなよ、、
ちなみに私は現在30代ですが、高校生のころに第一次芥川賞読破プロジェクトをやっていたことがあり、その時にもこの作品を読んだ記憶があります。すっかり内容などは忘れてしまっていたのですが、当時は結構面白く読んでいたことだけは覚えています。
きっと内容も理解できていたのだと思いますが、20年経ったらさっぱり理解できなくなってました。「長男の出家」でも同じことを感じたのですが、明らかに感受性が鈍っているという悲しい事実。その後の20年間でいろんな本を読み、いろんな経験もした結果、脳が刺激に慣れてしまい鈍感になっているのかもしれません。
そして、ここからさらに20年経ったらどうなるんだろうと想像すると、芥川賞選考委員のご老体の面々が思い浮かびました。悲しいけど、結局そういうことなんだろうな。。
「佐川君からの手紙」とは関係ない話ですが、30代以上の方はぜひ昔読んで面白いと思っていた本をもう一度読んでみてください。たぶん衝撃を受けますから、、
↓問題作だけに賛否両論。古い作品ですが、それなりにレビュー数があります。
佐川君からの手紙―舞踏会の手帖 (河出文庫)
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