文体が独特な作品。関西弁の口語体で、取り止めがなく長い文章がとても印象的です。なかなか句点が出てこないないので、途中で何の話やらよくわからなくなる感じが、かえって臨場感があります。
たしかに普段話しているときは、大まかには言いたいことの筋道はあるのですが、
実際文字に起こすとこういうことになっていそうで、
それを意図的に創作できるのはさすが小説家という感じです。
しかし、残念なことにストーリーは全く面白くありません。
豊胸手術を受けたいという母と、それに反対する娘を通して、
「生物としての女性のリアル」みたいなものを描いた物語(と解釈しました)なのですが、
まあ芥川賞にはありがちな、だからなんやねん感が満載。
ちょっと思ったのですが、小説の世界も漫画とか映画とかみたいに分業制ってどうなんでしょう。
文章を書くのが得意な人とストーリーを考えるのが得意な人が
コンビを組んだらすごくいい作品が生まれそう。
↓アマゾンのレビューでは「芥川賞っぽい」「芥川賞狙いか」
みたいな意見が目立ちました。
乳と卵/川上未映子
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