幼児ポルノの性癖がばれて人生のどん底に落ちてしまい、そこから改心して真面目にがんばろう、という物語ですが、全く好みには合いませんでした。。
そもそもこういうダークサイドな話はあまり好きじゃないのですが、
それでもとことん心の闇が描かれていれば、負の意味での感動があるものですが、
最後まで心の闇には踏み込まれることもなく、
ただ、自分の性癖のせいで人を不幸にしているかもしれないよと友人に指摘されて、
そうかもと思う、程度の描写しかなく、とても消化不良でした。
本来、そういう世間体や社会的な負い目みたいなものじゃなくて、
そもそもどうしてロリコンなのか、ロリコンというのはどういうメンタリティなのか、
それがどういう心の動きがあって変わって行くのか、
という心の内面の動きが興味のあるところです。
この小説は、自分自身がロリコンで、それを自己弁護しながら自伝を書いたような、
最も恥ずかしい核心部分にはなるたけ触れずに済ませたい感じがあり、
あえてそこが狙いだとすれば逆に面白い表現方法だと思いますが、
だとしてもそれじゃ面白くないよ!という、いずれにしても評価しづらい作品です。
むしろこのストーリーにおいて、ロリコンの要素を取り除いて、
その代わりに別のトラウマに置き換えても、ほとんど支障がないようにさえ思います。
↓といいつつ、アマゾンの評価は意外に高いです。
2004年の時代感覚とはマッチしていたのかも?
グランド・フィナーレ/阿部和重
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