大分県のリアス式海岸沿いにある小さな集落が舞台。主人公のさなえは発達障害の息子を持つ35歳のシングルマザーで、旦那のカナダ人と別れて、東京から故郷の大分県に帰ってくる、という物語です。
純文学の登竜門、芥川賞。昔から直木賞と違って、芥川賞は小難しくて面白くない作品が多いと言われますが、本当にそうなんでしょうか。いまさら改めて、芥川賞受賞作品を1冊1冊読み返してみました。
春の庭/柴崎友香(2014年上半期受賞)
入居者が1人2人と退去していく取り壊しが決まったアパート。その隣には昔「春の庭」という写真集で撮影されたことのある古い豪邸があり、アパートの住人の西さんはどうしても中を覗いてみたいとアグレッシブな行動を取る。あらすじとしてはそんな感じです。
穴/小山田浩子(2013年下半期受賞)
地方都市で働く主人公の女性が、夫の仕事の都合で仕事を辞め、田舎にある夫の実家に引っ越し、不思議な体験をするお話。
個人的には川上弘美さんの「蛇を踏む」のうそ話ぐあいがとても好きなのですが、それに近いおとぎ話性を持った、ちょっと怖くてほのぼのしたうそ話です。
爪と目/藤野可織(2013年上半期受賞)
abさんご/黒田夏子(2012年下半期受賞)
またまた来ました。最近の芥川賞の風物詩ともいえるキテレツ系作品です。
本来なら漢字で書く単語をあえてひらがなで書いたり、文章が横書きだったり、改行がやたら少なかったりと、とにかく読みづらいです。
途中で完全に読む気が失せてしまいましたが、芥川賞読破プロジェクトの使命感だけでどうにか完読しました。
冥土めぐり/鹿島田真希(2012年上半期受賞)
過去にお金持ちだった時代の生活にしがみつく元スチュワーデスの母と、アルコール依存性で自分は留学さえすれば世界で名を成すことができるという誇大妄想に取り憑かれた弟を持つ主人公が、金と虚栄にまみれた家族との関係に絶望の日々を送りつつも、夫の病気をきっかけに少しだけ光を見出す、というお話。
乙女の密告/赤染晶子(2010年上半期受賞)
アンネの日記に描かれたホロコーストと、京都の外語大学の女の園をオーバーラップさせた、ちょっとユニークな物語です。
しかし、軽い文章なので軽く読み飛ばしていたら、実はなかなかややこしい内容で、あまり読みこなせませんでした。
外語大学に通う主人公は、ドイツ語でアンネの日記を暗唱するスピーチコンテストに出場することになり、何度も読むうちに、アンネ・フランクの隠れ家の「密告」と、乙女と呼ばれるドイツ語ゼミの女子グループ内の「密告」を重ね合わせていくのですが、あえてレベル感の違う観念を比喩としてつなぎ合わせているため、一生懸命対比して読まないと、スッとは理解できません。
共喰い/田中慎弥(2011年下半期受賞)
著者の田中慎弥氏の受賞コメントや偏屈なキャラが先行して一躍注目を集めたこの作品。タイトルからして重々しく、ドロドロで屈折した世界観が想像されますし、むしろそこを期待していた部分もあるのですが、実はそんなことはなく、意外に正統派でした。
苦役列車/西村賢太(2010年下半期受賞)
映画化もされたヒット作です。
最近の芥川賞は文章が上手ければストーリーなんてどうでもいい、アーティスティックであればそれでよい、みたいな風潮があるように感じていましたが、例えば審査員である宮本輝さんが受賞したころはそうではなく、もっと人間ドラマが重視されていたような思います。
芥川賞作品レビュー
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榧の木祭り 里とは隔離された山村を舞台に、閉鎖的な社会の因習とも言える「村のしきたり」に縛られて人生を送る人々と、そこで年に一度行われる榧の木祭りを描いた作品です。
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自動起床装置 (新風舎文庫) 通信社の仮眠室で眠る人々を起こす「起こし屋」のアルバイトをする主人公と相棒の聡。これまで人力で快適な目覚めを提供することに腐心してきたのに、自動起床装置なるものが導入されることになり、、というお話。
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犬婿入り (講談社文庫) 犬が婿入りするという「犬婿入り」という民話のような出来事が、現代の新興住宅地で本当に起こる、というおとぎ話系の作品です。 主人公は学習塾の女教師で、そこに見た目は人間だけど、中身は犬のような謎の男性が転がり込んできて、なぜか結婚生活のよ...
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中陰の花 現役僧侶が描いた僧侶の話として話題になった作品。作者の人柄が現れたようなとても安定感のある文章で、ああ、こういうのがやっぱり文学であり、芥川賞だよなあ、としみじみ思えるような良い作品でした。
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ハリガネムシ 高校で倫理を教える教師が、裏社会に生きるソープ嬢と堕落した生活を送り、めちゃくちゃになる話。倒錯した性と暴力を描いた、典型的なそっち系の作品という印象です。 この作品は数ある芥川賞受賞作のなかでも、かなり好きになれない部類です。 「醜悪なものを描...
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石の来歴 (文春文庫) 趣味で鉱物を研究する主人公が、石に興味を持つきっかけとなったレイテ島の悲惨な戦場の記憶と、戦後に家族に起きた事件を重ね合わせるミステリアスな作品です。
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ダイヤモンドダスト (文春文庫) 軽井沢に暮らす看護師の主人公とその家族の物語。記念すべき第100回芥川賞受賞作品です。節目の受賞にふさわしい、これぞ純文学ともいうような正統派の作品でした。
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ひとり日和 芥川賞にありがちな「何も起こらない」系の作品。 入浴しながら50分ぐらいで読み終えました。 あらすじとしては、ぼんやりした生活を送っていた二十歳のフリーターの女の子が人並みに社会人の一歩を踏み出す、という、ただそれだけのストーリー。