道化師の蝶/円城塔(2011年下半期受賞)


出ました、芥川賞の象徴とも言うべき奇妙な作品。「アサッテの人」もずいぶんキテレツな作品だと思いましたが、「道化師の蝶」はそれを遥かに凌駕するキテレツさです。

この世界観はすぐに「ジョジョの奇妙な冒険」だと思いました。
第四部に登場する漫画家、岸辺露伴が小説を書いたらこんな感じになるかも?

とにかく奇妙なんです。

一年の大半を飛行機のなかで過ごす実業家
放浪した土地土地で異なる言語で小説を書く謎の小説家
モロッコのフェズで刺繍を習う
銀色の捕虫網で着想を捕らえる
無活用ラテン語で書かれた小説
などなど
奇妙さを演出するキーワードが盛りだくさん。

しかし、この世界観が圧倒的に唯一無二だとしても、
文章のわかりにくさと、ストーリーの把握のしづらさは、もう致命的です。

不思議で奇妙なことは認めますが、さすがにこの難解さは、
攻略の楽しみとかいう以前に、人に読ませる著作物として
不適切といわざるを得ないんじゃないでしょうか。

言語学的なテーマそのものは断片的に興味をそそるだけに、
理解できないもどかしさはかなりストレスです。。
(この感覚はジョジョで言えば、第七部スティール・ボール・ランに通じるものがあります)

ちなみに単行本でもう一話収録されている「松ノ枝の記」のほうは、
もう本当にダメで途中でギブアップしてしまいました。

自分の読解力がないのが問題なんでしょうが、
できればもう少し読者側に歩み寄ってもらいたいなあと、、

そんな感じです。


↓アマゾンのレビューもいちいち小難しい感じです。
人を小難しくさせる作品ってある意味すごいよね、、

道化師の蝶/円城塔

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